はじめに
自治体の財政状況に関する情報は住民にとって非常に大切なものです。
予算や決算の内容について、公開するのは当然ですが、それ以外にも毎年２回以上予算の執行状況等を公開することとされています。
自治体財務の流れ
自治体の仕事を財務の点から眺めると、概ね次のようになります。
なお、以下の内容は原則として一般会計をベースとしたもので、水道事業や交通事業などの公営企業会計については、少し異なる点があります。
当初予算関係の動き
当初予算については、前年度の秋ごろから各部局の予算要求の動きが始まります。
財政部局と各部局の予算をめぐる協議、財政部局や長の査定を経て、内容が固まるのが、１月から２月頃になります。
この時点で予算案の内容を多くの自治体はマスコミを通じて、また、ホームページなどで公表します。
その後、２月議会又は３月議会での議決を経て、予算が成立します。
年度の開始（４月１日）とともに予算が執行され始め、４月頃の広報紙で予算の特集を組む団体もあります。
予算を執行していく過程で、当初予算に過不足を生じることとなった場合には、必要に応じて、補正予算を編成します。
決算関係の動き
会計年度は３月３１日に終了します。
この時点で終わるべき事業が終わっていない場合等には繰越し手続をとります。
事業は終わっているものの支払が未了なものや年度の歳入となるべきであるがまだ収入されていないものについては、５月３１日の出納閉鎖期日までに処理をします(４月１日から５月３１日までは出納整理期間）。
８月末までに決算を行います。
なお、公営企業会計については、出納整理期間がありません。３月末で会計を締め、５月末までに決算を行います。
監査委員の監査に付し、その意見を付して、議会に提出するとともにその内容を公表します。
議会は内容を審査し、決算を認定します。認定の時期は９月議会又は１２月議会で行う団体が多いでしょう。
財政状況等の公表とは
予算や決算については、上記のように公表されておりますが、それに加えて年に２回以上、予算の執行状況等を各自治体は公表することとされています。
そのための条例を各自治体は定めています(「〇〇県(市)財政状況の公表に関する条例」などという名称の条例を定めている団体が多いと思われます)。
公表の内容は、
- 歳入歳出予算の執行状況
- 財産、地方債、一時借入金の現在高
- その他財政に関する事項 です。
公表事項の細目や公表の時期及び方法などについては、自治体の条例で定めることになります。
年２回の団体では、年度を半分に分け、４月１日から９月末までの状況を１０月から１１月頃にかけて、１０月１日から翌３月末までの状況を５月から６月頃にかけて公表している団体が多いと思われます。
ホームページに掲載する団体が多いので、関心のある方は「財政状況の公表」などと入力し、掲載個所をお探しください。
自治体の財務や組織について知る方法
このように各自治体の広報紙やホームページを見れば、その自治体の財務に関する情報を知ることができます。
県によっては、県内の市町村の予算や決算の情報をまとめて公表している団体もあります。関心のある県のホームページで「市町村予算」や「市町村決算」などというキーワードで探すか、「市町村課」「自治振興課」といった名称の課のページを当たるとよいでしょう。
さらに、国では、総務省がこうした予算や決算について、全自治体の集計を行っています。キーワードで探すか、「自治財政局」のページを当たると掲載されています。
また、財務に関する情報以外にも、自治体職員の給与水準や職員数などについても法律で公表が義務付けられています。県や市町村で自らの団体の情報を公開するほか、国でも取りまとめておりますし、県によっては県内市町村の状況を公表している団体もあります。
自治体は住民の納める税により住民のために仕事をする組織ですので、こうした情報はかなり細かく住民に提供されることになっています。
関心のある方はご覧になってください。
根拠法令等
本記事の根拠法令等は次の通りです。
解説は分かりやすくするために、主な事項だけを説明したり、法令にはない用語を用いたりしている場合があります。
正確に知りたい場合には、条文や文献等を確認してください。
地方自治法第２４３条の３(財政状況の公表等)
同法第２1１条(予算の調製及び議決)
同法第９６条第１項第２号(議会における予算の議決)
同法第２１９条(予算の送付及び公表)
同法第２３３条(決算)
同法第９６条第１項第３号(議会における決算の認定)
地方公営企業法第３０条(地方公営企業の決算)
地方公務員法第５８条の２、第５８条の３（人事行政の運営等の状況の公表）
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