香川県はうどん県になれるか?―自治体の名称のきまりとその変更方法

はじめに

香川県は2011年に「うどん県」への名称変更を発表しています。また、鳥取県も「蟹取県」を名乗っています。愛称やキャッチフレーズをつける団体は多いですが、両県は名称そのものの変更に踏み込んでいます。

これは、観光PRの一環ですが、そもそも自治体の名称はどのように定まっているでしょうか。また、「うどん県」については、そば好き、ラーメン好き、ごはん好きの香川県民こぞっての反対が予想されるものの、例えば「讃岐県」のような名称に正式に変更することは可能なのでしょうか。
本稿ではこれらについて解説します。

自治体の名称についてのきまり

自治体の名称については、地方自治法第3条第1項で「従来の名称による」と定められています。地方自治法は、昭和22年にできましたが、都道府県や市町村はそれ以前からありましたので、その名称をそのまま使うこととしたものです。自治体の名称は、それぞれの自治体における歴史的な経緯が反映されているものですから。
なお、「都道府県」の由来については、別のブログ『どうして「都」「道」「府」「県」があるのか』をご覧ください。

町の読み方について「まち」と「ちょう」、村の読み方について「むら」と「そん」がありますが、これらは、その町村が従来から呼称してきたものが「公称」とされています。
正式な読み方を確認したい場合には、当該町村のホームページを参照するか、総務省のホームページから「全国地方公共団体コード」にアクセスし、一覧表を参照する方法があります。

自治体の名称の変更方法―都道府県の場合

自治体の名称変更についても、地方自治法第3条に定められていますが、都道府県と市町村では手続が異なっています。
まず、都道府県の名称を変更する場合について、説明します。

都道府県の名称を変更しようとするときには、改名のための法律の制定が必要です。
この法律は、ひとつの団体だけに適用される特別法ですので、憲法第95条の規定により、その県民の住民投票で過半数の同意を得なければ、国会は制定することができないこととされています。
具体的な手続としては、国会で法案を可決した後に住民投票に付し、その過半数の同意を得たときに、さきの国会の議決が確定して法律となるという流れです。
この住民投票については、原則として、自治体の選挙に関する公職選挙法の規定が準用されています。

法律の定めはこうなっていますが、行政側が名称変更を行おうとすれば、事前の慎重な議論と県民の意向の見極めが必要となることは当然です。

自治体の名称の変更方法―市町村の場合

次に、市町村の名称変更の場合です。
市町村の名称変更については、事前に都道府県知事に協議をしたうえで、その市町村の条例で定めます。
条例を制定した後は、都道府県知事に変更後の名称と変更日を報告します。都道府県知事は、その報告があったときには、直ちに総務大臣に通知し、総務大臣はその旨を告示し、国の関係行政機関の長に通知します。

都道府県の場合とちがい、住民投票は義務付けられていません。
しかしながら、都道府県の場合と同様、名称変更に当たっては、慎重な議論と住民の意向の見極めは必要です。その方法の一つとして、住民投票を行う選択肢はあるでしょう。

兵庫県の現「丹波篠山市」は、2019年5月1日に「篠山市」から現行名称へと変更しています。その際、2018年11月に「市名を丹波篠山市に変更することについての賛否を問う住民投票」を実施し、過半数の同意を得たうえで、同月に臨時議会を招集し、名称変更議案を可決しています。

まとめ

都道府県は、法律の制定と住民投票により、市町村は、都道府県知事との協議と条例の制定により、現在の名称を変更できます。
都道府県について、現行地方自治法施行以来実例はありませんが、市町村では、2019年に丹波篠山市の名称変更の例があることを紹介しました。

本ブログには、市町村の区分に関して、町が市になる要件や村が町になる要件を説明した『自治体と「人口」1-市町村の要件として』、政令指定都市、中核市、一般市の区分について説明した『市にはランクがあるー「政令市」「中核市」と普通の市』、名称と並んで重要な自治体の境界について説明した『「ここ、何市ですか?」―意外に多い「境界未定地」のはなし』の記事もあります。
ご興味のある方はご覧ください。

根拠法令等

本記事の根拠法令等は次の通りです。
解説は分かりやすくするために、主な事項だけを説明したり、法令にはない用語を用いたりしている場合があります。
正確に知りたい場合には、条文や文献等を確認してください。

地方自治法第3条(自治体の名称)
同法第261条(特別法の住民投票)
同法第262条(住民投票に関する公職選挙法の準用等)

憲法第95条(一の地方公共団体のみに適用される特別法)

国会法第67条(一の地方公共団体のみに適用される特別法)

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市名変更の実例
「丹波篠山市への市名変更について」(丹波篠山市ホームページ)

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