自治体と「人口」5-令和を迎え加速する平成30年間の都道府県人口推移の傾向

はじめに

平成30年間の都道府県人口の推移と特徴については、『自治体と「人口」3-平成の30年間の都道府県の人口の推移と特徴』で述べました。また、少子高齢化の状況については、『自治体と「人口」4-平成の30年間の都道府県における少子高齢化の状況等』で述べました。

そこでは、総人口の増加から減少への転換、東京一極集中と全国に広まる人口減少、少子高齢化の進展などの特徴が見られましたが、こうしたものは、令和の時代になって、傾向が変わったのでしょうか、それとも、平成のままなのでしょうか。
この度、2026(令和8)年5月に令和7年国勢調査人口の速報値が公表されたので、これを用いて分析します。

日本の総人口について

2025年10月1日を基準日とした「令和7年国勢調査」(以下、「2025年国調」といいます。ほかの年の国勢調査についても、「西暦年+国調」又は「西暦(和歴)年+国調」の表記とします。)の人口速報集計結果によると、日本の総人口は前回の2020年国調と比べて、310万人減少し、1億2305万人となっています。

この減少幅が大きいことは、マスコミの報道によっても重点的に伝えられました。国勢調査での人口減少は、2015年国調から始まりましたが、2010年国調から2015年国調の人口減少幅は約96万人、2015年国調から2020年国調へは約95万人でしたから、けた違いに多くなりました。

この総人口は1990(平成2)年国調の1億2361万人を若干下回っており、2015年国調から始まった人口減少により、平成時代の増加分はすべてなくなり、人口は昭和の時代に戻りました。これから昭和を遡っていくことになるでしょう。

人口の多い団体、少ない団体

2025年国調における人口の多い団体は、
①東京都(1425万人)②神奈川県(919万人)③大阪府(876万人)④愛知県(745万人)⑤埼玉県(729万人)

人口の少ない団体は、
①鳥取県(52万人)、②島根県(63万人)③高知県(64万人)、④徳島県(68万人)、⑤福井県(73万人)の順となっております。
多い団体、少ない団体とも2020年国調と順位の変動はありません。

人口の増減の状況

人口が増加したのは、東京都(19万9千人増)と沖縄県(740人増)だけです。
あとの45県はすべて人口が減っています。埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県といったこれまでずっと増加し続けていた県も今回減少に転じました。

減少数の多い団体は、
①北海道(23万9千人減)②静岡県(16万4千人減)③兵庫県(14万千人減)④新潟県(13万3千人減)⑤福岡県(12万千人減)となっており、

減少率の高い団体は、
①秋田県(8.1%減)②青森県(7.9%減)③岩手県(7.02%減)④山形県(7.01%減)⑤高知県(6.95%減)となっています。

減少数の多い団体については、比較的人口規模の大きい団体が目立ちます。減少率の高い団体については、5県中4県を東北地方の県が占め、6位にも福島県が入っておりますので、地域的に極めて特徴的です。

人口減少数第1位の北海道は、1960(昭和35)年国調以来保ってきた人口500万人の大台を割り、499万人となりました。大台割れの団体を他に挙げると、長野県が200万人を割り、山形県と富山県が100万人を割っています。

2020年国調から2025年国調までの都道府県別の人口の増減状況を平成時代との関係で総括すると、平成の30年間で最も人口を増やしたのは東京都、最も人口を減らしたのは北海道、人口の減少率の最も高かったのは秋田県で、東北地方の県が5県中3県を占めていました。これと全く同じ団体が5年間のランクのトップに名を連ねて、東北地方の県の人口減少の傾向はより強まっています。平成の30年間をぎゅっと縮めたのが2025年までの令和の5年間といってよいでしょう。

高まる東京一極集中

平成の30年間で、東京都は人口を219万人増やし、日本の総人口に占める割合を1.5ポイント高め、11.1%としました。最少人口県の鳥取県との比率は、25.4倍でした。
2025年国調でこれらの数字を見てみますと、既述のように東京都は人口を19万9千人増やし、1425万人となりましたが、この間、日本の総人口が310万人減少し、1億2305万人となったことから、都のシェアは、11.6%と5年間で0.5ポイント上昇しました。
鳥取県との比率も、27.2倍に拡大しました。

東京都に、神奈川県、埼玉県及び千葉県を加えた「東京圏」の値では、2020年国調の3691万人から3699万人へ増加しており、そのシェアも29.3%から30.1%へと0.8ポイント増加しています。

こうしたことから、東京一極集中あるいは東京圏への一極集中の傾向は、この間の地方創生の取組にかかわらず、平成の30年間の傾向がむしろ強まっている感があります。

少子化の傾向も加速

日本の総人口が減少しているのは、出生数よりも死亡者数が多いためです。死亡者数が増加の傾向にあるのに対し、出生数は減少の傾向にあります。2020(令和2)年に84万千人だった出生数は、毎年減少し、2024(令和6)年には68万6千人まで落ち込みました。

一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、2024年の値は1.15で、2020年の1.34よりさらに低くなっています。東京都は0.96と最下位で、沖縄県は1.54でトップなのも平成時代と変わりません。しかし、東京都は1を割り、沖縄県の数値も下がっています。

東京都に次いで出生率の低いのは、宮城県、北海道、秋田県の順で、東北地方の県が比較的低いことも平成時代と同じ傾向です。これらの県も軒並み数値が下落しています(厚生労働省「人口動態調査」)。
こうしたことから、少子化の傾向も加速しているといえるでしょう。

まとめ

2025年国調の人口集計の速報値をもとにして、平成30年間の日本の総人口及び各都道府県の人口の変化の傾向が、令和の時代を迎えてどのように変化したかについての分析をしました。

その結果、総人口や各県の人口の減少、東京(圏)一極集中、少子化といった平成時代の傾向が令和に入ってから加速しているといえます。その影響は、特に北海道や東北地方に顕著に表れています。

参考文献

令和7年国勢調査 人口速報集計(総務省統計局)
令和6年(2024)人口動態統計(厚生労働省)

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