「一般財源」「特定財源」ってなに?-わかるお役所用語解説29

はじめに

「一般財源」「特定財源」は、自治体の財源を、その使途が定められておらずどのような経費にも使うことができるのか、特定の使途にしか使うことができないのかという「使途」に注目した区分のしかたです。

「一般財源」は使途の制限がなく使うことができますが、「特定財源」は使途が定められているものです。

財源の区分の方法

財源を区分する方法はいくつかあります。

「一般財源」「特定財源」は使途に注目した区分ですが、そのほかに、

財源の収入を自治体自らが自主的に行うのか、他機関の意思決定に基づき収入するかによる「自主財源」「依存財源」の区分、
収入が毎年度安定的に確保されるか、そうでないかに注目した「経常的収入」「臨時的収入」の区分などです。

それぞれの区分には、自治体財政運営の特徴、強みや弱みがわかる視点があります。こうした複数の視点から当該自治体の財政を分析し、また、他自治体と比較することにより、その特質や問題点を把握することができます。

なお、「自主財源」「依存財源」の区分については、別のブログ『「自主財源」「依存財源」ってなに?-わかるお役所用語解説30』をご覧ください。

代表的な一般財源と特定財源

一般財源に区分される収入としては、代表的なものとして、地方税(県税や市税)、地方譲与税地方交付税があります。

地方税は、一般に広く住民の福祉のために用いるものです。
地方譲与税は、実質的には地方の財源ですが、徴税の便宜のため国税として徴収し、それを地方に配分するものです。
地方交付税は、自治体が事務を行う上で、地方税では不足する分を補てんするものです。
こうしたことから、使途に制限はありません。

特定財源に区分される収入としては、代表的なものとして、国庫支出金(都道府県支出金)、地方債があります。

国庫支出金は、国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金に大別されますが、いずれも特定の事業に関して、国が支出するものですので、その事業以外には使えません。
地方債も、特定の事業(例えば、学校の建築や橋の建設など)の財源として借り入れるものなので、他の事業のためその収入を充てることはできません。

一般財源・特定財源についてのもう少し詳しい説明

前項の説明で、一般財源・特定財源の考え方の理解としては十分ですが、もう少し詳しい説明を加えます。

自治体の収入には、前項で掲げたもの以外にも多くの種類があります。それらのうちから、一般財源に区分されるのをいくつか挙げます。

地方特例交付金―これは国の所得税減税と合わせて住民税も減税となる場合に地方の減収の補てんのため国から交付されるものです。例えば、岸田内閣のときに行われた1年限りの定額減税の補てんについては、令和6年度の地方特例交付金により補填されています。これは地方税と同じ性質をもちますので、一般財源に区分されるということです。

交通安全対策特別交付金―交通反則通告制度に基づき納付される反則金収入を原資として、地方公共団体が単独で行う道路交通安全施設整備の経費に充てるための財源として交付されるものです。

各種の交付金―市町村の収入においては、県が収入した税の一部を県からの交付金という形で受け入れるものがあります。例えば、地方消費税交付金、利子割交付金といったものが挙げられます。これも税と同じような性質をもつので、一般財源とされます。

次に、特定財源についても、いくつか挙げます。

分担金・負担金については、受益者からある事業についての費用の一部として徴収するものですので、特定財源です。

また、使用料は行政財産の目的外使用や公の施設の使用に対して使用者に負担してもらうもの、手数料は特定の者のためにする事務の経費の一部として負担してもらうものですので、いずれも特定財源です。

一般財源等

一般財源と特定財源の細かい区分は、総務省が行う地方財政状況調査(通称「決算統計」)に示されています。

この調査では、一般財源と同様に扱われるいくつかの収入について、上記の一般財源と合わせて「一般財源等」と整理しています。

例えば、国庫支出金の中でも、地域振興を図る特別法により交付金が交付される場合がありますが、そのような交付金(一例として、発電用施設所在市町村に交付される「電源立地地域対策交付金」)は、これに当たります。

また、地方債の中でも、税の減収を補てんするために起こしたもの(例えば、減税補てん債)や地方交付税の代わりとして起こす臨時財政対策債もこれに当たります。

そのほかの収入でも、特定の目的に充てるためでない収入(例えば、寄附目的が特定されない寄附金や売却目的が具体的事業に特定されない財産収入など)がこれに当たります。

根拠法令等

本記事の根拠法令等は次の通りです。
解説は分かりやすくするために、主な事項だけを説明したり、法令にはない用語を用いたりしている場合があります。
正確に知りたい場合には、条文や文献等を確認してください。

令和3年度 地方財政状況調査表作成要領(市町村分)(一部事務組合分)総務省自治財政局財務調査課

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