「財政力指数」ってなに?-わかるお役所用語解説1

はじめに

どの仕事にも専門用語がありますが、お役所の専門用語は、職員だけでなく、住民の方々に向けてもつかわれることがあります。最近では、こうした専門用語には、短い解説がついていることが多いですが、本記事では、わかりやすく、すこし詳しく説明します。

今回は、「財政力指数」についての説明です。

「財政力指数」はお役所の財政関係の専門用語としては、比較的一般的なものだと思われます。財政関係以外の職員の方も住民の方も一度ぐらい耳にした方も多いのではないでしょうか。どのような意味をもつ用語か、是非ともご一読ください。
説明は、簡単な説明から詳しい説明へと段階を追って行っています。

いちばん簡単な説明

「財政力指数」は、県や市町村の財政の豊さを示す数字です。数字が大きい方が豊かで、1を超えるととても豊かです。

総務省の説明

総務省は、地方自治体や地方自治制度について所管している省です。
同省では、「財政力指数」について、次の通り説明しています。

地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。
財政力指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕があるといえる。(令和3年度地方公共団体の主要財政指標一覧の「指標の説明」より)

詳しい説明―総務省の説明の解説

総務省の説明に注釈を加える形で、もう少し詳しく説明します。

「財政力を示す指数」とは、財政の豊かさを示す指数という意味です。具体的には、基準財政収入額と基準財政需要額の比較で表されます。

「基準財政収入額lとは、地方交付税(普通交付税)の算定に当たって、総務省が決めた基準に従って、その自治体の税収や地方譲与税額を見込んだものです。

「基準財政需要額」とは、地方交付税(普通交付税)の算定に当たって、総務省が決めた基準に従って、その自治体の仕事に費やす費用を見込んだものです。かかった実額ではありません。

※「地方交付税」とは、国が自治体に交付する、税収等では自治体の仕事の経費が賄いきれない場合の不足分を補うお金です。不足分を計算するため、収入と費用(需要額)を計算し、差し引きします。収入の方が多ければ、普通交付税はゼロです。
なお、地方交付税には、この算式で計算する「普通交付税」と特別な需要に対して交付する「特別交付税」があります。

「基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値」とは、今までの説明の通り、これらが同額の場合は1となり、収入額の方が多ければ1より多く、少なければ。1未満になります。ですので、1を超えると収入の方が多く、豊か=財政力が高いということになります。

「3年間の平均値」とは、例えば、一昨年が1.05、昨年が1.00、今年が1.04だった場合に、3つを足して、3で割った数字=1.03です。
どうして3年間の平均をとるかについては、おそらく激変緩和だと思われます。

財政力指数は、単に財政力を表す数字としてだけでなく、いろいろな財政支援の要件の一つとしてつかわれることがあります。例えば、財政力指数が1以上の団体は助成の適用外とするなどです。こうした場合に単年度で計算しますと、適用有り無しがころころ変わったりして、収支の見通しがむずかしくなります。
激変を避けるということは、自治体の運営にとってかなり重要なことです。

「留保財源」とは、基準財政収入額の算定に当たり、税収については、見込み額の全額を収入額とするのではなく、75パーセントの額としています。これは税収全部を収入額としてしまうと、総務省が決めた仕事以外は自治体はできないことになってしまうからです。

もっと詳しく理解するために

「財政力指数」は、地方交付税制度と関係した指数ですので、この制度の理解が必要となります。
もう少し詳しく地方交付税制度を知りたいという方は、次のブログをお読みください。

わかる「交付税」1―もらう交付税と交付する交付税
わかる「交付税」2―基準財政需要額をかんたんに
わかる「交付税」3―交付する交付税

根拠法令等

本記事の根拠法令等は次の通りです。
解説は分かりやすくするために、主な事項だけを説明したり、法令にはない用語を用いたりしている場合があります。
正確に知りたい場合には、条文や文献等を確認してください。

令和3年度地方公共団体の主要財政指標一覧(総務省トップ→政策→統計情報→地方財政状況調査関係資料→地方公共団体の主要財政指標一覧)

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